平成23(2011)年 協会活動助成授賞報告
特例社団法人 日本小児保健協会
協会活動担当 理事 大西 文子
平成15(2003)年度より小児保健協会活動の一環として設けられた研究助成、実践活動助成の各選考委員会の審議を経て決定しましたので報告致します。
【研究助成】
平成23(2011)年8月8日に選考委員会(委員長:平岩幹男)が開催され、平成22(2010)年度本協会機関誌『小児保健研究』に掲載された論文の中から、委員が事前に推薦した60編について慎重に審議した結果、代表者「佐々木瞳氏」と代表者「清水佐知子氏」に決定しました。
【実践活動助成】
平成23(2011)年8月8日に選考委員会(委員長:大西文子)が開催され、1支部団体より応募のあった活動内容について審議した結果、活動名「ダウン症候群トータル医療ケア・フォーラム」、代表者「森内浩幸氏(長崎県小児保健協会)」の団体に決定しました。
第8回 研究助成(2篇)
○論文名:「一地方都市における乳児を持つ父親の育児の自信~第一報:自信が低い頻度と育児状況の関連~」
「一地方都市における乳児を持つ父親の育児の自信~第二報:自信を低くするリスク要因の検討~」
論文執筆者:
佐々木 瞳 氏(前福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座/保健師)
後藤 あや(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座/准教授・公衆衛生),
渡辺 春子(福島県須賀川市保健福祉部市民健康課/保健師)
山崎 幸子(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座(助教/臨床心理士)
川井 巧(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座(大学院生/小児)
安村 誠司(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座(教授・公衆衛生)
掲載巻号:『小児保健研究』第69巻6号 p790-795 2010. 『小児保健研究』第69巻6号 p796-802 2010.
〔授賞理由〕
父親の育児の自信に注目し,その実態と育児状況,および父親の育児自信に関連する要因について明らかにした論文である。近年,父親に対する育児の期待が高まっている中,父親を育児の主体者として位置づけ,その自信をテーマとしている設定に新奇性が見られる。また,乳幼児健診という日常業務を活用したデータ集積方法は,他地域での汎用性もあることなども評価された。父親の育児自信を高めるためには,妊娠期から父親を焦点にした育児支援事業を展開することの必要性が示唆され,小児保健の向上に寄与しうるものである。
○論文名:「日本版幼児睡眠質問票の開発」
論文執筆者:
清水 佐知子 氏、大野 ゆう子 氏(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻数理保健学教室、研究職/看護師)
加藤 久美、毛利 育子、下野九理子、谷池 雅子(大阪大学大学院医学系研究科子どものこころの分子統御機構研究センター(研究職/医師)
掲載巻号:『小児保健研究』第69巻6号 p803-813 2010.
〔推薦理由〕
睡眠の問題を抱える子どもは小児人口の約25%であり,睡眠時無呼吸や睡眠不足などの問題は頻度が高く,養育者にとっても大きなストレスになっている。わが国の文化的背景を踏まえた質問紙の開発として,学術領域と臨床,地域保健活動の双方で使用可能な日本版幼児睡眠質問票を作成し,幼児における睡眠スクリーニング尺度として一定の示唆を与えるものである。日本文化に適合した,臨床での使用の可能性が高い尺度として提案され,高く評価された。
(文責:平岩幹男)
第9回 実践活動助成(1活動)
活動名・代表者
「ダウン症候群トータル医療ケア・フォーラム」
森内 浩幸 氏(長崎県小児保健協会)
推薦理由:わが国におけるダウン症発生頻度は増加しており、さらに平均寿命は60歳前後まで延びている。本活動は、ダウン症児・者の各年代に生じる身体・精神・社会的問題に対するトータルケアやQOLの向上を含め、近藤達郎氏(みさかえの園むつみの家)を中心とした様々な分野の医療関係者とダウン症者やその家族との相互理解を深め、優しい社会の確立を目指して、長崎大学医学部小児科主催で既に5回のフォーラムを開催している。本活動は、他地域への波及効果も期待され、他施設・他診療科・職種間の協働が十分に認められ、小児保健活動の活性化や新しい取り組み内容であることが高く評価された(1件のため助成奨励金は20万円とする)。
(文責:大西文子)
平成23年度 小児保健協会活動助成選考委員会
協会活動担当理事:大西 文子
協会活動担当幹事:堀田 法子、鎌田 博司、近藤 洋子
○ 研究助成選考委員会
委員長:平岩 幹男
委員長代行:山崎 嘉久
委 員:杉浦 太一、鳥居 央子、谷村 雅子、小林 正子、鎌田 尚子
○ 実践活動選考委員会
委員長:大西 文子
委員長代行:長嶋 正實
委 員:前田 浩利、倉橋 俊至、白石 淑枝、尾花 由美子、太田 百合子