公益社団法人 日本小児保健協会
協会活動担当理事　前田　美穂

平成15（2003）年度より小児保健協会活動の一環として設けられた、「研究助成」および「実践活動助成」につきまして、各選考委員会の審議および理事会での承認を経て決定しましたので報告致します。

研究助成

（対象論文）
平成26年度の協会活動助成が見送られたため、平成26年度選考対象論文（平成25年度発行の『小児保健研究』第72巻3号～第73巻2号に掲載された75論文）および平成27年度選考対象論文（平成26年度発行の『小児保健研究』第73巻3号～第74巻2号に掲載された76論文）と致しました。

（選考方法）
5名の選考委員（別記）により慎重に審議を重ね、各年度2編の推薦論文を選考し、理事会での承認を得て決定致しました。

（授賞論文）

■平成25（2013）年度論文

・論文筆頭者：吉田　弘道 先生
論文名：育児不安尺度の作成に関する研究　その1 ― 4・5か月児、および、10・11か月児の母親用モデル ―
掲載誌：小児保健研究　第72巻5号　p680-689　平成25年

・論文筆頭者：　田村　典久 先生
論文名：睡眠教育パッケージを用いた睡眠授業が小学生の生活の夜型化、睡眠不足、イライラ感の改善に与える効果
掲載誌：小児保健研究　第73巻1号　p28-37　平成26年

■平成26（2014）年度論文

・論文筆頭者：村田　絵美 先生
論文名：日本の小学生の睡眠習慣と睡眠に影響を及ぼすライフスタイルについての大規模調査
掲載誌：小児保健研究　第73巻6号　p798-810　平成26年

・論文筆頭者：鈴井　江三子 先生
論文名：学童保育指導員が認識した入所時の児童虐待被害児童と親の行動の特徴
掲載誌：小児保健研究　第74巻2号　p254-260　平成27年

〔授賞理由〕
■平成25（2013）年度論文
代表者　吉田弘道氏のご研究は、継続している育児不安尺度の研究で、月齢、年齢ごとに特異的な不安項目について抽出し、縦断的な面が加味されている点が優れており、さらに「健やか親子21」の重要な課題であるということでも評価されました。

代表者　田村典久氏のご研究は、日常生活の一環として大切な睡眠を科学的にとらえ、介入研究として小学生の教育に応用し、実践的な成果を上げた研究として評価されました。また資料も豊富に示されており、追試可能であり、教育現場の参考になる点が優れていると考えられました。

■平成26（2014）年度論文
代表者　村田絵美氏のご研究は、ご自身方の開発した｢小学生版子どもの眠りの質問表｣を用いて、非常に多くの小学生を対象として調査されたご研究であり、睡眠は家庭のライフスタイルが影響する場合と子どもの自律性による場合があることを示唆しています。このことは大規模調査であるゆえに説得力も大きいと考えられ、子どもの睡眠に関する一連の研究として評価できると考えられました。

代表者　鈴井江三子氏のご研究は、学童保育の指導員に対する児童虐待の起こっている家族の特徴に関する聞き取り調査を行うことにより、指導員の認識を明らかにし、早期発見・早期対応に導く方策を見出そうとする研究であり、これを多職種による研究チームで実施している点が優れていると考えられました。本選考基準の一つである異職種間の連携という点でも本研究助成賞に見合う研究と評価されました。また情報収集の困難さを克服したところも評価できると思われます。

実践活動助成

平成27年度は、2団体の活動について、都道府県小児保健協会会長からの推薦がありました。平成27年5月14日に選考委員会を開催し（委員別記）、活動内容について審議した結果、選考委員会からは、奈良県保健協会会長 嶋 緑倫先生からご推薦のありました西久保敏也先生、南部光彦先生の「ダウン症候群の児を対象とした赤ちゃん体操教室」を推薦し、理事会の承認を得て決定致しました。

〔授賞理由〕
西久保敏也先生、南部光彦先生の活動は、ダウン症児の母子支援の例としてきわめて有用な実践的活動であると思われました。また、その活動を継続し、論文として報告していることから優れた活動であると評価されました。

平成27年度協会活動助成　選考委員

〔研究助成〕

〔実践活動助成〕