会長ご挨拶
日本小児保健研究会が発足した昭和8(1933)年から90年の歴史をもつ日本小児保健協会の会長を拝命して身の引き締まる思いです。
こども家庭庁が令和5(2023)年に創設され、国は「こどもまんなか社会」を掲げて、こども大綱の策定、次元の異なる少子化対策などを打ち出し、わが国の小児保健を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えました。さらに、成育基本法に基づく成育医療等基本方針の改訂、母子保健・医療DX推進など、小児保健・医療、子育て政策の変革が始まりました。
これらの子育て支援政策の流れの中で、先取りした活動を行っていく役割を多職種連携の基盤をもつ日本小児保健協会は担えると認識しています。
日本小児保健協会は学術団体として、こどもの健康支援に携わる多様な職種、専門家の方にご参加いただき、こどものwellbeingの向上のためにbio-psycho-socialの視点で領域横断の闊達な論議をする場です。また、公益社団法人として、人の健康状態に違いをもたらす経済的、社会的状況(Social Determinants of Health)を踏まえて、科学的根拠に基づく政策提言と啓発活動を積極的に関連学会等と連携しておこう責務があります。
障碍や疾病の有無や家庭環境の違いに関わらず、すべてのこどもが笑顔になれる社会のために、先達の教えと思いを胸に、本協会の設立目的である多職種による小児の保健、医療、教育、福祉の向上と社会への普及啓発活動を一層進めてまいります。
令和6(2024)年7月
日本小児保健協会会長山縣 然太朗